使っていないドメインこそ危ない — 「送らないドメイン」のなりすまし対策は3行で終わる
最終更新: 2026-08-07
ブランド保護用に取った類似ドメイン、昔のキャンペーンで使ったドメイン、リダイレクト専用のドメイン——メールを送らないドメインは、なりすましの格好の標的です。なぜなら、SPFもDKIMもDMARCも何もないドメインは、詐称されても受信側が「偽物だ」と判定する材料を持たないからです。
朗報があります。送らないドメインの防御は、送るドメインよりはるかに簡単です。DNSレコードを3本置くだけ。数分で終わります。
設定する3つのレコード
そのドメイン(例: example-brand.jp)のDNSに、次を追加します。
1. SPF —「このドメインからメールは一切送りません」宣言
種別: TXT
名前: @(ドメイン直下)
値: v=spf1 -all
許可する送信元を1つも書かず、-all(すべて拒否)だけを宣言します。
2. DMARC —「名乗る偽物は拒否してください」指示
種別: TXT
名前: _dmarc
値: v=DMARC1; p=reject; rua=mailto:レポート受信用アドレス
送信実績のないドメインなので、様子見(p=none)の期間は不要。最初からrejectで問題ありません。rua=を付けておくと、悪用が試みられた事実をレポートで把握できます(→レポートの読み方)。
3. Null MX —「メールの受信もしません」宣言(推奨)
種別: MX
名前: @(ドメイン直下)
優先度: 0
値: .
優先度0・値「.」だけのMXレコードは「このドメインはメールを受け取らない」という標準の宣言(Null MX)です。送受信の両面でメール利用なしを明示できます。
DKIMは署名すべきメールが存在しないため、設定不要です。
対象ドメインの洗い出し
意外と忘れているものです。次を確認してください。
- ドメイン管理サービスの契約一覧(会社で複数の管理会社に分散していませんか)
- ブランド・商標保護用に取得した類似ドメイン(.jp/.com/.net違いなど)
- 事業譲渡・サイト統合で使わなくなった旧ドメイン
- 「Webは使っているが、メールは送っていない」ドメイン(この場合もSPF/DMARCは上記と同じ考え方で設定できます)
保有ドメインが多い場合は、送信システム台帳に「送信しないドメイン」欄を作って一元管理するのがおすすめです。
よくある質問
Q. 将来そのドメインでメールを送るかもしれません。
A. 送ることになった時点で、SPFに送信元を追加し、DMARCを通常の育成手順(none→観測→強化)に切り替えれば大丈夫です。それまでの間、無防備で放置するほうがリスクです。
Q. Webサイトだけ使っているドメインにも必要ですか?
A. 必要です。Webの利用とメールの詐称リスクは無関係です。メールを送らないなら、この記事の3レコードをそのまま設定できます(Null MXは、受信もしない場合のみ)。
Q. 設定によって、既存のWebサイトに影響は出ませんか?
A. 出ません。SPF・DMARC・MXはメールに関する宣言で、Webの表示には影響しません。