複数のメールサービス併用時のSPF・DKIM・DMARC — 統合ルールと設計の定石
最終更新: 2026-08-07
Google Workspaceで業務メール、配信サービスでメルマガ、CRMから通知——今どきの会社は、1つのドメインから複数のサービスでメールを送っています。このときの設定には明確なルールがあります。覚えるのは「SPFは1本に統合、DKIMはサービスごとに追加、DMARCは1本だけ」。 これだけです。
SPF:1本のレコードにinclude:を並べる
SPFレコードは1ドメインに1本だけ。サービスを追加するたびに、同じ1本の中にinclude:を追記します。
(例)Google Workspace + 配信サービスの統合レコード
v=spf1 include:_spf.google.com include:配信サービス指定の値 ~all
やってはいけないのは、サービスごとにSPFレコードを2本、3本と作ること。2本以上あると恒久的エラー(permerror)となり、全部が無効扱いになる危険があります。
また、include:を足していくと、いずれ「DNSルックアップ10回制限」の壁に当たります。3サービス以上を併用しているなら、10回制限の解説と対策を一度確認してください。
DKIM:サービスごとに「別の印鑑」を追加する
DKIMはSPFと違い、統合の必要がありません。サービスごとに別のセレクタ(印鑑の名前)でレコードを追加すれば、いくつでも共存できます。
| サービス | セレクタの例 | 登録方式 |
|---|---|---|
| Google Workspace | TXT | |
| Microsoft 365 | selector1/selector2 | CNAME×2 |
| メール配信サービス | サービスごとに指定 | CNAMEまたはTXT |
重要なのは、各サービスで自社ドメインの署名(カスタムDKIM)を有効にすることです。配信サービス側の初期設定(配信会社ドメインの署名)のままでは、DMARCの合格につながりません(→アライメント解説)。
DMARC:何サービス使っていても1本だけ
DMARCはドメインに対する方針宣言なので、サービスがいくつあっても_dmarc.example.comに1本です。すべてのサービスでSPF・DKIMのアライメントが揃っているかは、DMARCレポートで経路ごとに確認できます。
設計の定石:用途別にサブドメインを分ける
すべてを1つのドメインで送ることもできますが、規模が大きくなってきたら用途別のサブドメイン分離が定石です。
example.com … 社員の業務メール
news.example.com … メルマガ・キャンペーン
notice.example.com … システム通知・取引メール
分ける利点は2つあります。第一に評判(レピュテーション)の分離。メルマガへの苦情が業務メールの到達率まで下げる、という巻き添えを防げます。第二に認証管理の単純化。サブドメインごとにSPFが独立するため、10回制限にも余裕ができます。
注意点として、差出人に使うサブドメインには、SPF・DKIMに加えてAまたはMXレコードも置いておくと、携帯キャリア宛ての互換性が上がります(→キャリア宛て対策)。
サービス追加時のチェックリスト
よくある質問
Q. 配信サービスから「このTXTを登録してください」と言われました。既存のSPFはどうすれば?
A. 渡された値がv=spf1で始まる完全なレコードなら、そのまま登録せず、include:部分だけを既存レコードに取り込んでください。丸ごと2本目として登録するのが最頻出の事故です。
Q. 同じinclude:を重複して書いてしまいました。問題ありますか?
A. 動作上は無害ですが、ルックアップを無駄に消費します。1つに整理してください。
Q. サブドメインを分けたら、DMARCもサブドメインごとに必要ですか?
A. 親ドメインのDMARCがサブドメインにも自動適用されるため、必須ではありません。サブドメインだけ別ポリシーにしたい場合に個別のレコードを置きます。