DMARCレポート分析ツールの比較 — 何を基準に選ぶか
最終更新: 2026-09-09
DMARCを p=none で設定すると、受信側から集計レポート(rua)が毎日届き始めます。これは「あなたのドメイン名を名乗るメールを受け取ったら、結果を教えてください」という依頼への返事で、世界中の受信事業者が応えてくれています。
見る目的は2つです。
| 目的 | 何が分かるか |
|---|---|
| 1. ポリシーを上げてよいか判断する | 自社の正規の送信元が、すべて認証に合格しているか。業務メール・メルマガ・フォームの自動返信・請求システム——ひとつでも失敗していれば、p=reject に上げた瞬間にそのメールが止まります。「上げても大丈夫」と言える根拠は、ここにしかありません |
| 2. なりすましを見つける | 見覚えのない送信元から、自社ドメインを名乗るメールが出ていないか。自社の送信ログには残らないので、レポート以外に気づく手段がありません |
つまり「自社ドメインを名乗るメールの全体像」が、毎日タダで手に入っているということです。これは p=none の段階でも得られる、DMARCのいちばん実用的な価値です。
ところが、届くのはXMLの塊です。1日に数十通、それぞれ数十行。目で読むのは現実的ではありません。そこで分析ツールを使うことになります。
ただ、各社の機能一覧を並べてもどれも同じに見えます。実際に差が出るのは3か所です。先にそこを押さえてから、価格を見てください。
選ぶ基準は3つ
| 基準 | 何が変わるか |
|---|---|
| 1. データの保存期間 | 「先月と比べてどうか」が見られるかどうか。DMARCの運用は変化を追う仕事なので、ここが実質の上限になります。10日や1か月では比較になりません |
| 2. 送信元を名前で特定できるか | レポートに出てくるのはIPアドレスです。「これは自社のどの経路か」を人が突き合わせるのか、ツールが「これは◯◯というサービス」と出すのか。聞き取りでやると半日から1日かかる作業なので、価格差の中心はここです |
| 3. 引き上げの影響を先に見られるか | p=none から quarantine → reject へ上げるとき、正規のメールを止めないと言い切れるか。「上げたらどう処理されるか」を事前に推定する機能があるかどうかで、踏み切れる時期が変わります |
p=reject まで上げ切る予定がある、のいずれかに当てはまるなら、上の3点で絞り込むことになります。各社の価格
掲載している各社の皆さまへ:内容に変更や相違がございましたら、お手数ですが末尾のフォームよりお気軽にご連絡ください。確認のうえ速やかに訂正いたします。
| 区分 | ツール | 料金 | 範囲・条件 | 確認日 |
|---|---|---|---|---|
| 無料 | Cloudflare DMARC Management | 無料 全プランで利用可 | ドメインから送信しているすべての経路を洗い出し、経路ごとにSPF・DKIM・DMARCの合否を表示。Cloudflare DNSを使っていることが条件です(公式に「Cloudflare DNSをご利用のすべてのお客様が対象」と明記)。DNSごと移す判断が要ります | 2026-09-05 |
| 無料 | Valimail Monitor | 無料 | 送信元サービスを名前で特定できます(基準2)。「不明な送信元IP」ではなく「これは◯◯というサービス」まで出ます。ポリシーを上げ切るところまで任せる Enforce は問い合わせ見積もり | 2026-09-05 |
| 無料 | Postmark DMARC Monitoring | 無料 | 週1回、メールで届く要約だけという割り切った作り。画面にログインして掘り下げる機能はありません。現状を知る最初の一歩には十分です | 2026-09-05 |
| 有料 | PowerDMARC Basic | 月15ドル 年払いなら月12ドル | 月100,000通/データ保存1年/5ドメイン/2ユーザー。SPF・BIMI・MTA-STS・TLS-RPTのホスティングも含む | 2026-09-05 |
| 有料 | dmarcian ベーシック | 月24ドル 年払いなら月19.99ドル (年239.88ドル) | 月100,000通/データ保存3か月/2ドメイン/1ユーザー | 2026-09-05 |
| 有料 | EasyDMARC Plus | 月44.99ドル 年払いなら月35.99ドル | 月100,000通/データ保存3か月/2ドメイン。税別 | 2026-09-05 |
| 有料 | dmarcian プラス | 月240ドル 年払いなら月199ドル | 月1,000,000通/データ保存1年/8ドメイン/3ユーザー。IPセーフリスト、ユーザーアクセス制御 | 2026-09-05 |
| 国産 | TwoFive DMARC/25 Analyze | 価格は非公開 1か月の無料トライアル | Standard(認証結果の集計・可視化)と Professional の2プラン。Professionalにはポリシー引き上げのシミュレーション(基準3)、DKIM鍵分析、日次アラート、類似ドメインの監視が入ります。画面もサポートも日本語 | 2026-09-05 |
⚠️ 注意:無料プランには、会社のドメインで使えないものがあります
上の表にあえて入れていない無料プランが2つあります。個人利用に限定されているためです。
| ツール | 条件 | 制限 |
|---|---|---|
| dmarcian パーソナル | 個人利用・非ビジネス限定 | 月1,250通/データ保存1か月/2ドメイン |
| PowerDMARC Free | 価格表に “For Personal Domains Only” と明記 | 月10,000通/データ保存10日/1ドメイン |
「無料プランがある」と紹介されがちですが、条件が付いています。dmarcianは公開ページに監査することまで書いています。
当社のソフトウェアは定期的に個人向けプランを監査します。アカウントにビジネス関連のドメインが含まれている場合、そのドメインは期限切れとなり、データを失うことなく有料サブスクリプションに申し込む機会が提供されます。
試すぶんには問題ありませんが、業務のドメインで使い続ける前提では選べません。導入を検討する段階で、ここを確かめておいてください。
検討時に確認しておくこと — レポートを外部に渡すということ
DMARCレポートの宛先(rua=)を分析ツールに向けるということは、「自社のドメインから、いつ、どこから、何通のメールが出ているか」を、その会社に渡すということです。
ふだんは気にする必要のない話ですが、次の場合は先に確認してください。
- お客様のドメインを預かっている場合 — 制作会社や配信サービスとして他社のドメインを管理しているなら、そのドメインのレポートも一緒に外部へ渡ります
- データの置き場所に決まりがある場合 — 海外のサービスは、レポートも海外で処理されます。国内保管が要件なら、国産のツールが選択肢になります
- すでに別の宛先を設定している場合 —
rua=は複数の宛先を書けます。いまの宛先を消さずに、試したいツールを1つ足す形にすれば、切り戻しが要りません
📌 別ドメインの宛先を rua= に書くときは、受け取る側に承認レコードが要ります(→ DMARCレポートとは何か)。ツール側が案内するので、そのとおりに設定してください。
状況別の選び方
| 状況 | 向いているもの |
|---|---|
| まず現状を知りたい | DNSがCloudflareなら Cloudflare DMARC Management、そうでなければ Valimail Monitor か Postmark。費用はかかりません |
| 送信経路が3つ以上あって、洗い出しに困っている | 基準2を満たすもの。Valimail Monitor は無料でここまでできます |
| 毎月の変化を追いたい・社内に報告する必要がある | 基準1。データ保存が1年あるプラン(PowerDMARC Basic、dmarcian プラス など) |
| 日本語の画面とサポートが要る/データを国内に置きたい | 国産のツール。TwoFive の DMARC/25 Analyze は1か月の無料トライアルがあります |
p=reject まで上げ切りたい | 基準3を満たすもの。ただしツールだけでは決まりません。「正規のメールを止めたら誰が持つか」が値段になります(→ 設定代行の料金相場) |
この調査について
- 価格はすべて、各社の公開ページで実際に確認したものです。
- 各行に確認日を入れています。価格は変わります。検討される際は、必ず各社の最新のページをご確認ください
- 実際の画面の使い勝手には踏み込んでいません。公開されている情報だけで書いており、当サイトは各ツールを業務で継続利用してはいません。書けるのは「何ができると書いてあるか」までです
- ドル表記のものは、為替と課税の扱いが各社で異なるため、円換算していません
一次ソース: Cloudflare DMARC Management / Valimail / Postmark / dmarcian / PowerDMARC / EasyDMARC / TwoFive (いずれも最終確認: 2026-09-05)