DMARC設定のやり方 — p=noneから始める段階的な導入手順
最終更新: 2026-08-07
DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance)は、「うちのドメインをかたる、なりすましメールが来たら、こう扱ってください」という受信側への指示書です。あわせて、なりすましの発生状況をレポートで受け取れます。SPF・DKIMと合わせた3大必須設定の仕上げにあたります。
レコードの基本形
DMARCは、_dmarc.あなたのドメイン のTXTレコード1本です。最小構成はこれだけ:
v=DMARC1; p=none; rua=mailto:dmarc-report@sub.domain.com
| タグ | 意味 |
|---|---|
p= | ポリシー(必須)。なりすまし疑いメールの扱い: none=様子見/quarantine=迷惑メールへ/reject=受信拒否 |
rua= | 集計レポートの送信先。必ず設定をおすすめ(理由は後述) |
sp= | サブドメインに適用するポリシー(省略時は p= と同じ) |
pct= | ポリシーを適用する割合(省略時は100)。2026年の新仕様(RFC 9989)で廃止予定のため、これから設計する場合は使わないことをおすすめします(→RFC 9989の変更点) |
adkim= / aspf= | アライメント(一致判定)の厳しさ。通常は省略(relaxed)でOK |
段階的に強化する — none → quarantine → reject

- STEP1: p=none(様子見)で開始 — メールの扱いは一切変わりません。レポートだけが届き、「正当なメールがちゃんと認証に合格しているか」「なりすましがどれだけ発生しているか」を観察できます。いきなり quarantine/reject にしないこと。設定漏れのサービスがあると、自社の正当なメールが迷惑メール行きになります。
- STEP2: p=quarantine(迷惑メールへ) — レポートで正当なメールの合格を確認できたら引き上げ。なりすましは受信者の迷惑メールフォルダに入るようになります。BIMI(ロゴ表示)の前提条件でもあります。
- STEP3: p=reject(受信拒否) — 最終形。なりすましは受信箱にも迷惑メールにも届かず、拒否されます。
「いつ・何を確認して引き上げるべきか」を数値と期間で判断したい方はreject移行チェックリストへ。送信経路が多い場合は送信経路の洗い出しを先に済ませておくと安全です。
rua(レポート)を必ず設定する理由
レポートがないと、①なりすましが発生しても気づけない、②quarantine へ引き上げてよいか判断できない、の2つで詰まります。レポートはXML形式で毎日届くため、専用の集計サービス(無料枠のあるものも多い)で見るのが現実的です。まずは受信できる状態にしておくことが第一歩です。届いたXMLの読み方はDMARCレポートの読み方で解説しています。
アライメント(一言だけ)
DMARCの合格には「SPFまたはDKIMに合格していること」に加えて、合格したドメインが、受信者に見える差出人欄(From)のドメインと一致していること(アライメント)が必要です。通常、お使いのメールサービスの公式手順どおりに設定していれば満たせます。
もう少し詳しく(技術者向け)
SPFのアライメントはエンベロープFrom(Return-Path)のドメイン、DKIMは署名の d= ドメインが、ヘッダーFromと一致するかで判定されます。既定は relaxed(組織ドメインの一致でOK)。メール配信サービス利用時はDKIMアライメントで満たすのが一般的です。「SPF・DKIMは合格なのにDMARCだけfail」する場合の原因と直し方はこちらで詳しく解説しています。
サブドメインと親ドメインの関係
サブドメイン(例: sub.domain.com)自体にDMARCレコードがなくても、親ドメイン(domain.com)のDMARCが自動的に適用されます。これはDMARCの正式な仕組みで、受信側の判定もPASSになります。本サイトの診断では「✅ 設定済み(親ドメイン)」と表示します。
Gmail・Outlook.comの要件との関係
1日5,000通以上を個人のGmailアカウント宛てに送る場合、DMARCの設定(p=noneで可)が必須です。Outlook.com宛ての大量送信者も2025年5月から同様です。詳しくは送信者要件まとめへ。